自動運転 法的問題や責任の所在を解決した先の未来

何か急に「今すぐ実現しそう」と思われ始めた自動車の自動運転ですが、数多く存在する問題点を整理していくと、意外な結末が予想されます。


法的に認められない

自動運転車の根本的な問題として、日本も加盟している「ジュネーブ道路交通条約」および、日本国内の「道路交通法」では、自動運転が限定的にしか認められない事があります。
完全な自動運転、すなわち運転手が一切関わらない、あるいは不要な無人自動運転車は認められず、運転手がいつでも運転できる態勢で「自動運転装置を監督」している必要があるのです。
メディア向けによく行われている自動運転車の試乗がこれで、確かにハンドルやペダル類に一切触らず走行できているものの、問題があれば自動運転のスイッチを切って手動運転に切り替えられるのが大前提です。

事故をおこした場合の責任は?

気になるのが自動運転時の責任の所在ですが、前述の通り現行法および国際条約下においては「運転者が自動運転を監督している」つまり、運転者の責任においてしか自動運転は認められていません。
そのため、現状では事故を起こした場合、手動運転と同様に運転者が「運行管理責任者」として責任を負う事になります。
「自分は責任を取りたくない」と思うのであれば、自動運転のスイッチを切れば済む話ですから、当然です。
しかし仮に、国内法や国際条約の改正で運転者が監督しない、車任せの完全自動運転が実現した場合はどうでしょうか?
その場合は、電車やバスの乗客が、その事故に対して責任を負わないのと同じ事になります。
運転者でも運行管理責任者でも無く、ただの「乗客」に過ぎないのですから。

自動運転での運行管理責任者は誰になる?

ただし、主にヨーロッパの国が加盟していて、日本や米国は未加盟の「ウィーン道路交通条約」では、「運転手がいる場合は、そちらの操作が優先される事」「自動運転装置をオフにできるスイッチをつける事」という条件つきで、完全自動運転を認めるよう改正が進んでいます。
これにより、完全自動運転でも乗客の側に「運転手が乗るか」「自動運転を作動させるか」という選択肢があるので、乗客は自らの責任において自動運転を選択している事になります。
すなわち乗客が運行管理責任者である、という解釈もできるわけで、もし事故になった場合にはメーカーとユーザー、どちらの責任なのかが裁判で問われてしまう状態です。

メーカーの責任は?

自動運転車ではなくとも、車に不具合があっての事故があれば、メーカーは当然責任を問われます。
その不具合の原因が自動運転システムにあれば、当然メーカーが責任を問われるのです。
あるいは、自動運転システムには欠かせない情報インフラを管理する、公的機関や民間企業の責任が問われる可能性もあります。
いずれにせよ、そうした事態を回避するため、メーカーとその下請け企業は全て、取り扱い説明書にこう明記するに違いありません。
「自動運転で生じた損害は、ハードウェア、ソフトウェアに欠陥が無い限り搭乗しているユーザーにあり、メーカーが責任を負うものではありません。」
飛行機でも鉄道でもバスでも、メーカーに問題は無くとも運行会社の問題で事故が発生する事があります。
自動運転車の場合はユーザーが「運行会社」に該当する、とメーカーは主張するでしょう。
そうなると後はお馴染みの話になります。

何もしてないのに壊れた!

パソコンやスマートフォン、タブレットの初心者は「何もしてないのに壊れた!」を連発する事があります。
ただ電源を入れて起動しただけで壊れたのかもしれませんが、ほぼ確実に「その後の操作」が原因で問題は発生します。
もちろん機械の側に技術的不良が最初から存在し、ユーザーの操作に関わらず問題が発生する事もあります。
その場合もユーザーは「何もしてないのに壊れた!」と言います。
自動運転車でも、全く同じ事態が十分に想定されます。
完全自動運転で事故を起こせば、ユーザーは当然「何もしていないのに事故を起こした!」と言います。
しかし、事故の前にユーザーが行った操作や、あるいはアフターパーツ、あるいはインストールしたアプリが原因かもしれません。
その可能性を無視して一方的に責任を取らされては大変なので、メーカーが無条件に責任を認める事は無く、ほぼ全ての事故で調査が行われるようになります。
その調査を簡略化するために「ドライブレコーダー」や、情報提供インフラのログを調べるとしても、毎回それでは費用が膨大なものになります。
その費用は、一体誰が払うのでしょうか?

損害保険は誰が入る?

完全自動運転でユーザーの責任が無くならない事が予想される以上、自動運転車は引き続きユーザーが損害保険に加入する事になります。
事故が起きれば、保険会社は保険金を払いたくないものですから、誰の責任かが重要になります。
もちろんメーカー側の保険会社も同様です。
その結果、保険会社による調査の負担は激増し、そのまま保険料の高騰という形で跳ね返るのは避けられません。
つまり、自動運転車は高額な保険料を払える人でないと、乗れなくなります。
現状でさえ任意保険に加入するお金が無くても車に乗っている人がいるのに、これでは自動運転車の普及などできません。

解決策は責任の分担しか無い?

個人で責任を取るには負担が大きすぎる、という状況で自動運転社会の実現を目指すならば、解決策は「責任の分担」しか無いと考えられます。
すなわちマイカー所有をやめ、カーシェアやレンタカーをメインとして、必要な時だけ自動運転車を自分の家に呼び、用事が終わったらまた自動運転で元の場所に返す、というカーライフです。
保険料は利用料に含まれ、運用会社が一括して保険会社と契約します。
何のことはなく、単なる「無人タクシー」の時代です。
自動車を所有したいのであれば、自動運転をあきらめる必要がある、あるいは自動運転を利用したいならば、自動車の所有をあきらめる必要がある、そんな時代が、もう目の前に迫っているのかもしれません。
車が好きで、自分で所有して好きなように走りたいというユーザーにとっては、自動運転は希望と相反する技術と言えます。
本当にそのような未来でいいのかどうか、自動運転がもたらす社会について、もう少し落ち着いた議論が必要かもしれないと感じました。

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