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日本政府が2020年の東京五輪で目指す自動運転サービスとは!? – Ancar Channel【アンカーチャンネル】

首相が大宣言!

2015年10月、安倍首相が「2020年には、東京で自動運転車が走り回っている」と宣言しました。

国として自動運転車に強い期待を示したものですが、現在試験中の自動運転タクシーなどを2020年開催の東京オリンピックまでには広く普及させる、という趣旨のようです。当然そのためには技術的、法的ハードルなどがあるので、日本政府として環境の整備に全力を尽くすという事で、2015年6月に閣議決定された「日本再興戦略」の2015年改定版では「完全自動走行を見据えた環境推進の整備」が取り上げられました。

その中では「完全自動運転が可能な、レベル4自動運転を実現する」事が明記されているので、運転手がいない車が街中を普通に走れる事になります。現在の道路交通法では運転手がいない車の走行を認めていないので、法律改正が大前提となる話ですから、各メーカーの開発だけではなく、国の後押しが不可欠なのです。

想定されるのは「無人タクシー」

差し当たり想定されているのは、完全自動運転でドライバー無しで運行される「無人タクシー」で、東京オリンピック観戦のために来日した観光客が急増する事を踏まえ、技術力のアピールや、外国語での行き先指示、観光地案内などを想定している模様です。

あまり無人タクシーばかり増やすと、既存のタクシー運転手が失業してしまわないか・・という心配もありますが、期間内限定で観光客の急増する東京オリンピック向け限定施策なのかもしれません。

その後も例えばイベントなどで一時的にタクシー需要の拡大する地域へ投入するなど、施策を継続するための具体案が伴えば、段階的にタクシーの無人化が進んだり、過疎化地方の小型コミュニティバスとしての活用などが可能になると思われます。

「国家戦略特別区域」での実証実験

既に自動運転タクシーの実証のため、2001年にロボットベンチャー企業として設立され、現在では自動運転システムの開発に取り組んでいる「株式会社ZMP」と、インターネット・モバイルサービスの分野ではトップクラスの「株式会社DeNA」による合弁会社「ロボットタクシー株式会社」が誕生しています。

さらに国家戦略特別区域のひとつ「さがみロボット産業特区」で行われる、様々な社会実験のひとつとして「ロボットタクシー」の自動運転タクシーが採択されました。2016年から神奈川県藤沢市で、実際に利用者を載せての運行が始まります。

とりあえずは二週間限定での限定運行で、自動運転もレベル4(完全無人)ではなく、レベル3(運転手が乗った上で自動運転が行われる)ですが、世界的に見ても乗客を乗せての運行はまだ珍しく、その成果が期待されています。

実証実験の内容

ロボットタクシーによる、トヨタ・エスティマハイブリッドがベースの自動運転タクシーで行う実証実験での利用者は周辺住民から50名ほど選ばれたモニターです。自宅から近所のスーパーまでの往復3kmほどに限られますが、その中で無人タクシーの運行実績を積む事で、課題の洗い出しが行われる事になります。

モニターの主なターゲットは、買い物のための往復や、荷物を運ぶのが大変な高齢者となりますが、乗り降りはともかく、大量に買い物した際のタクシーへの積み込みなどはどうするのか気になるところです。あるいは、高齢者の場合は子供のいる若い世帯に比べると買い物でも量が少なく、車以外に店の中や家の中で物を運ぶ事を考えれば大量の荷物は想定しにくいので、無人タクシーのターゲットとしては最適なのかもしれません。

完全無人の実証実験は、まだまだ先

とはいえ、藤沢市でのロボットタクシーの実験はまだまだ始まりに過ぎません。

本来なら運転手もいない完全無人タクシーを走らせたいところでしょうが、それをしない理由としては技術的な問題ではなく、道路交通法と、日本も加盟している「ジュネーブ道路交通条約」で、運転手不在の自動運転が禁止されているからです。日本国内の法改正だけではなく国際条約の問題でもあるので、その実現にはまだまだ時間がかかると思われます。

2020年の東京オリンピック開催までには、東京都内でもある程度の実証実験を済ませている必要があると思いますが、あと5年足らずという時間を短いと考えるか、長いと考えるかは、ひとえに日本政府による後押し次第、あるいは政治情勢の安定次第と言えます。

順調にスケジュールが進み、東京オリンピックで来日した外国人観光客が無人タクシーに乗り込み、外国語で告げた行き先に正確にたどり着き、日本の技術を賞賛してくれるような未来が来るよう、関係者には全力を尽くしてもらいたいと思います。