自転車だけじゃない!かつては自動車メーカーだった「アウトビアンキ(イタリア)」

オートバイを作り出した超老舗自転車メーカー「ビアンキ」

アウトビアンキの元になった自転車メーカー、ビアンキが誕生したのは実に19世紀の昔、1885年のことです。 現在の自転車そのものである「ローバー安全型自転車」が誕生した年に誕生したビアンキは、ただ自転車を作るだけでなくすぐにそれにエンジンをつけるようになり、オートバイメーカーとしても頭角を現します。 そうなると自動車も作りたくなるもので、19世紀最後の年、1900年には自動車の生産も開始しました。 このあたりの流れは以前このシリーズで紹介したイギリスのトライアンフや、日本の昌和製作所とも似ています。 そのまま第2次世界大戦まで自転車・オートバイ・自動車メーカーとして好調に操業を続けていたビアンキですが、戦禍の中で受けたダメージから立ち直り切れず、自動車部門を分社して1955年にフィアット傘下に刺し出し、1967年にはオートバイの生産からも撤退。 幸い自転車メーカーとしては息を吹き返して、今でもビアンキの作る自転車は高性能ブランドサイクルとして人気です。

フィアットの実験ブランド「アウトビアンキ」始動

1955年にフィアット傘下の自動車メーカーとして独立したビアンキの自動車部門は「アウトビアンキ」として再出発。 フィアットの技術先行車メーカーとして新機軸をいち早く採用するとともに、デザイン面でも従来のフィアット車をベースにした、ちょっと変わったモデルをリリースしていきました。 その最初のモデルが写真の「ビアンキーナ」ですが、日本でも「チンクチェント」と呼ばれて大人気になった2代目フィアット500をベースにしたRR(リアエンジン後輪駆動)の乗用車です。 リアエンジンでスペース効率を最大限に追及した姿は、どこかで見たことがあるなと思えば、マツダの軽自動車、初代キャロルに似ていますね。 1957年デビューなので、キャロルよりはだいぶ早いデビューですが。

現在のジアコーサ式FF車の元祖、プリムラで歴史に名を刻む

アウトビアンキが自動車史上にその名を残したのは、1964年に発売された3ドアハッチバックのコンパクトカー、プリムラです。 フィアットのエンジニア、ダンテ・ジアコーサが考案した画期的なFF(フロントエンジン前輪駆動)車で、エンジンとミッションを一列に横置きするという、現在のFF車がほとんど採用している方式の第一号。 それまでのFF車と言えばエンジン縦置きで直後にミッションを置いているので全長が長く室内スペースを効率的に使えなかったり、ミニのようにエンジンとミッションを2階建てにしてコンパクトに収めたものの、エンジンやミッションを別なものに換装しにくい欠点を持っていました。 ジアコーサ式と呼ばれたプリムラの方式では、前後方向をコンパクトに収めつつエンジンとミッションをさまざまに組み合わせるのが容易だったので設計の自由度が高く、その後のFF車に広く使われて今に至っています。

一時代を築いたアバルトチューン、A112アバルト

他にもいくつかの車種を作っていたアウトビアンキですが、その名を世界中に轟かせたのは1973年に登場したA112アバルトです。 もちろんジアコーサ式を採用したFFのコンパクトカーで、ミニクラスの小型大衆車にも採用可能かどうかのテストベッド的モデルA112(1969年登場)に、フィアット傘下のチューナー、アバルトがエンジンなどをチューンした「ホットハッチ」でした。 フィアット傘下になってからの量産市販車としては初のアバルトチューン車で、アバルトエンブレムのサソリのマークと共に大人気となったため、1985年まで12年も作られたロングセラーモデルとなりましたが、これがアウトビアンキ最後のヒット作となります。

その役目を終え、今はフィアットでひっそりと眠るアウトビアンキ

初のジアコーサ式FF、初のフィアット量産アバルトチューンと、フィアットグループ内で実験的ブランドとして存続していたアウトビアンキですが、1985年にA112の後継として登場したY10はアウトビアンキを名乗りませんでした。 日本などアウトビアンキのブランドが人気を博していた海外では「アウトビアンキ Y10」名で販売されたため、日本ではアウトビアンキ車と認識されているものの、本国ではランチア Y10として販売されます。 そう、アウトビアンキのポジションは、新たにフィアットグループ入りしたランチアのものになったのです。 こうして役目を終えたアウトビアンキは、既に1968年にフィアットに完全買収されてブランドのみが残る状態だったため、1994年にY10生産終了とともにブランドも消滅。 今でもその商標はフィアットが持っているため、いずれチンクチェントなどと同様、復刻される日が来るのを静かに待っています。

次回は日立、いすゞ、日野、小松と名のある大メーカーの歴史にちょっと関わりがあるとともに、日本自動車史にその未来的なデザインで名を遺した「フジキャビン」も作った、波乱万丈自動車メーカー、富士自動車をご紹介します。

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